現在、日本人の約半数が高血圧と言われています。高血圧は放置すると、血管が硬くなり(動脈硬化)、ひいては脳や心臓に重大な障害(脳卒中や心筋梗塞)を生じる危険性が高くなります。そのため、非常に多くの方々が降圧剤による治療を受けていらっしゃいます。そのほとんどを占めるのは、明らかな原因が見当たらず遺伝的な体質によると考えられる高血圧(本態性高血圧)です。従って根本的な治療法はなく、血圧を下げるための降圧剤を長期間にわたって服用していただく必要があります。
一方、治す事の出来る高血圧もあります。その代表が原発性アルドステロン症です。「アルドステロン」は副腎という臓器から分泌されるホルモンで、身体に塩分(ナトリウム)を貯め込んで血圧を上昇させる作用があります。そのため、アルドステロンが過剰に分泌されると高血圧になってしまいます。
副腎に腫瘍ができて、その腫瘍がアルドステロンを過剰に分泌するものを「原発性アルドステロン症」と呼びます。この場合、その腫瘍を手術で取り除くことによって高血圧を治すことが可能です(注1)。高血圧患者さんの5%が原発性アルドステロン症(20人に1人)といわれていますので、かなり多くの患者さんが治せる高血圧である可能性があります。(ただし原発性アルドステロン症であっても腫瘍が見つからない場合には手術ができないこともあります)。
原発性アルドステロン症の可能性があるかどうかは採血検査によって判別できますので、お気軽にご相談下さい。
注1)すでに動脈硬化が進行している場合には、手術後も高血圧が残る事がありますが、それでも手術により血圧の改善が期待できます(降圧薬の減量など)。