甲状腺ホルモンは体内の新陳代謝を促進し、心身の活動を活発にしてくれますので、健康な生活を営むために必須のホルモンです。

しかし高齢者では、あまり代謝が活発になりすぎても負担が大きくなってしまいます。例えば、高齢者では、わずかな甲状腺ホルモンの過剰が不整脈や骨粗しょう症を引き起こすことが知られていますし、80歳以上の高齢者では甲状腺ホルモンが少なめな人の方が長生きであることも報告されています。

ですから、高齢者の甲状腺機能を若い人と同じ基準で判定して、若い人と同じになる様に治療してしまうとかえって有害になることもありますので注意が必要です。

詳しくは当院にお尋ねください。

女性の方では、健康診断や人間ドックなどで「甲状腺が大きい」、あるいは「腫れている」といわれることが少なくありません。これは、医学的に「甲状腺腫」と呼ばれる状態で、甲状腺腫には以下の2種類があります。

 1)び漫性甲状腺腫・・・甲状腺の全体が大きくなっているもの
  
   バセドウ病や橋本病などの可能性が高く、ホルモン異常を伴う場合には内服治療
  が必要になります。

 2)結節性甲状腺腫・・・甲状腺の一部がコブの様に大きくなるもの
  
    甲状腺に腫瘍が出来ている可能性があります。悪性の疑いがあれば手術が考慮さ
  れます。

 診察と超音波検査によって1)、2)のいずれであるかを判定し、血液検査でホルモンの状態などを調べます。2)ではその他に甲状腺の細胞を採取する検査が必要になる場合もあります。

 1)、2)のいずれであっても、実際には治療を必要としない場合も多いので  
 あまり心配せずに気軽に検査を受けていただく事をお勧めします。

 ご不明の点はお気軽にお問い合わせ下さい。

妊娠・出産は甲状腺の働きを変化させます。特に、甲状腺に疾患を持っている方は妊娠前から特別な管理が必要になります。

  • 妊娠前

ごくわずかでも甲状腺ホルモンの不足があると妊娠しにくくなります。そのため、不妊の方は甲状腺機能を調べる必要があります。その結果、甲状腺ホルモンの不足がある場合には治療を開始しますが、その判断には専門的な知識が必要ですので当院にご相談ください。妊娠を予定しているバセドウ病の患者さんでは、治療法の変更が必要になる事がありますのでご相談ください。

  • 妊娠中

一部の妊婦さん(特につわりが強い妊婦さん)では、 妊娠10週頃に甲状腺ホルモンの分泌が過剰になり、動悸などの症状がでる事があります(妊娠時一過性甲状腺機能亢進症)。甲状腺自体に疾患がなければ自然に軽快しますので治療を必要としませんが、その判断には専門的な知識が必要ですので当院にご相談ください。

  • 出産後

出産の3〜4ヶ月後に甲状腺機能異常を起こすことがあります。これは自然に軽快することもありますが、治療が必要な場合もあります。その判断には専門的な知識が必要ですので当院にご相談ください。

喉の痛み、発熱は風邪の時によくみられる症状ですが、「亜急性甲状腺炎」という甲状腺の病気でも良く似た症状がみられます。

『亜急性甲状腺炎とは?』

甲状腺に炎症が生じて、発熱や首の前面の痛みが見られる病気で、風邪に引き続いて発症することもあります。

風邪の時の喉の痛みは、物を飲み込む時に強く感じますが、本症では甲状腺の部分(首の前面)を外から触れると強い痛みを感じるのが特徴です。

風邪が数日で治るのに対して、この病気は2〜3カ月続きます(亜急性の名前はそこから来ています)ので、風邪の症状が長引いている時には甲状腺の炎症を考える必要があります。また、ホルモンの異常を伴う場合も多く、その場合には動悸、発汗、体重減少などの症状を伴います。

この病気は診察と血液検査、エコー検査で診断が可能で内服治療によって症状は速やかに改善されます(治療期間は2〜3ヶ月)。

気になる方はお気軽にご相談ください。